駆除の現場は、夕方には片づいている。なのに、会社に戻ってからが長い。
作業員さんから届く報告を一件ずつ開いて、金額と支払い方法を確かめて、元請けの一覧表に写して、写真が付いているかを見る。数字が合わなければ電話で聞き直す。ハチの季節になると、それが毎日何百件と積み上がります。
「現場はなんとか回せてる。でも、パソコンの前の仕事が終わらない」。害虫駆除の会社さんから、本当によく聞く話です。
先に結論を言うと、害虫駆除のDXは、新しい道具を入れることではありません。報告を「人が読んで、人が写す」のをやめることです。
今回は、私たちが仕組みづくりをお手伝いしたハチ駆除の会社の実例をもとに、理由を3つお話しします。導入事例のページでは結果だけをまとめていますが、この記事ではその裏側で何が起きていたかを書きます。
害虫駆除のパソコン作業は「件数 × 報告先の数」で増える
この会社では、案件がいくつもの広告会社から届いていました。困るのは、会社ごとに案件の書き方がバラバラなことです。案件番号の位置も、日付の書き方も、送り先のLINEのグループも違います。
そこに、作業員さんからの完了報告が重なります。報告はLINEで届き、同じ内容をGoogleフォームでも出してもらう。それを元請けの一覧表へ、元請けの決めた形式で写す。
件数も書いておきます。繁忙期の7月、受付から完了まで追いかけた案件は約2,500件でした。作業員さんからのLINE報告は、多い時期だと8日で1,000件ほど届きます。
件数が増えるだけなら、まだ何とかなるんですよね。しんどいのは、件数と報告先の数が掛け算で効いてくるところです。送り先が1社増えるたびに、確認の手間がまるごと1セット増えます。
この会社では、こうしたパソコン作業を外の会社に頼んでいて、その費用が月20万円かかっていました。
一番時間を食うのは、入力ではなく「食い違いの確認」
仕組みをつくる前、私たちは「時間がかかっているのは入力だろう」と思っていました。実際に一件ずつ中身を見てみると、違いました。
時間を食っていたのは、報告どうしの食い違いを見つけて、正しいほうを確かめる作業です。たとえば、こんなことが毎日起きます。
- LINEの報告とフォームで、金額や支払い方法が違う
- 一度目は「失注」で報告したのに、後日もう一度行って施工していた
- 追加の工事をした分が、別の報告になっている
- 「領収書の写真」として届いた写真が、実は現場の写真だった
最後のものは、確認が必要になった16件を見たら、15件が領収書ではありませんでした。
いちばん驚いたのは、ある作業員さんの報告が毎回読み取れなかった件です。原因を追いかけたら、スマホの変換で出てくる「見た目はコロンなのに、別の文字」を使っていたんですよね。人の目ではまず気づきません。正直、これを見つけたときは笑ってしまいました。
ここで分かったのは、報告がおかしいのは作業員さんが悪いからではない、ということです。人が手で書く以上、ズレは必ず出ます。だったら、ズレを人の目で探すのをやめて、仕組みに見つけさせればいい。
自動にしたのは「取り込み・突き合わせ・お知らせ・転記」の4つ
実際につくった仕組みは、やっていることだけ書くとシンプルです。
- 取り込み:広告会社ごとに形式の違う案件を、LINEから自動で読み取って一覧にする
- 突き合わせ:作業員さんのLINE報告とフォームを、案件ごとに自動で照らし合わせる
- お知らせ:足りない報告や食い違いがあれば、毎日夕方に本人のグループへ自動で知らせる
- 転記:そろった案件は、毎晩、元請けの一覧表へ元請けの形式で自動で書き込む(多い日は一晩で200件以上)

人が見るのは、仕組みが「これは人の判断が必要です」と出したものだけです。7月分を全部見直したときも、仕組みが取りこぼした案件は0件でした。
結果として、外に頼んでいた月20万円の作業は、仕組みに置き換わりました。その後に出てきた直しや相談も、すべて毎月の保守費用の中で対応しています。保守費用を差し引いても年216万円の削減になりました。最初にかかった費用は約3か月で元が取れています。
最初にやめたのは、高い道具を買うことでも、人を減らすことでもありません。報告を人が読んで写すこと、それだけです。
「うちは数人の会社だから、まだ早い」と思った方へ
ここまで読んで、「うちは作業員が数人だし、そこまでの件数はない」と思った社長さんもいると思います。
その感覚は正しいです。件数が少ないうちに、会社専用の仕組みを一からつくるのはおすすめしません。つくる費用のほうが高くつきます。
ではAIは関係ないかというと、そんなことはないんですよね。数人の会社こそ、社長やパソコン作業の担当の方がAIの使い方を短い期間で一気に覚えて、自分たちで回すのがいちばん効きます。報告の文章をそろえる、見積りの下書きを作る、LINEの返信文を整える。このくらいなら、使い方さえ分かれば今日からできます。
私たちが月額の顧問(月3万円から)をおすすめしているのは、まさにこういう会社です。月に2回、社長と一緒に「今いちばん時間を食っている作業」をAIで片づけていきます。件数が増えて手が回らなくなったら、そこで初めて仕組みづくりを考えれば十分です。
仕組みがある会社とない会社、繁忙期の夜の違い
ハチの季節を思い浮かべてください。
仕組みがない会社では、繁忙期ほど夜の確認作業が増えます。報告が増えるほど食い違いも増え、元請けへの報告が遅れ、入金も遅れる。忙しいほど、会社に残る時間が延びていきます。
仕組みがある会社では、件数が増えても夜の作業はほとんど変わりません。増えるのは、仕組みが「ここだけ見てください」と出してくる数件だけです。社長と担当の方は、その数件と、次の現場の段取りに時間を使えます。
同じ件数をこなしていても、1年たつと、この差はけっこう大きくなります。
まずは1週間、「食い違い」を数えてみてください
明日からできることを1つだけ。
1週間、報告の確認で「あれ、合わないな」と手が止まった回数を数えてみてください。金額、支払い方法、写真、日付、何でもかまいません。
数が少なければ、今のやり方で十分です。AIの使い方を覚えて、もう少し楽にするところから始めましょう。
数が多ければ、そこが仕組みに任せられる場所です。どの作業をどう仕組みにすればいいか、自分たちで決めきれなくても大丈夫です。30分の無料相談で今の仕事の流れを伺い、どこを仕組みにすれば楽になるかの改善案をお出しします。
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